建築探訪｜村野藤吾建築-3

先日参加してまいりました村野藤吾建築　

目黒区総合庁舎建築ガイドツアー

 

元々の用途であった旧千代田生命本社ビルの茶庭と茶室が今もそこにありました。

 

当時は社員の茶道、華道、句会などのクラブ活動用に使われていた空間で

目黒区総合庁舎になった今も尚同様に使われているそう。

 

四畳半の茶室は伝統的な設えながらも、天井は全面に渡って籐で編まれた光天井！

籐の隙間から漏れる僅かな照度に抑えられた空間に目が慣れた頃

目の前に茶庭がハイライトとして飛び込んで来るという一連の流れは

村野藤吾の計算なのであろうか。

 

茶庭に伸びる深い土間庇は半割り竹を模した銅板葺きでI型鋼の力垂木で補強され

それらをI型鋼の細い柱と軒桁で構成されており、躙り口に近い手前の庇の柱と桁だけが一点木材という所が遊び心なのか面白い。

木材では構造的に不可能なディテールを鋼材を用いる事で限界まで華奢に表現しているという事なのだろう。

 

籐編みの光天井と言い、深庇のディテールと言い、現代に於いても目を見張るデザインで当時では相当斬新なアイデアを決して大袈裟に見せずサラッとシンプルにやってのける所が村野らしさの現れなのか、何とも潔くてとても好きな空間でした。